有名な哲学書を注釈付きで読もう
以下に挙げるのは、その哲学書を注釈書と一緒に読むことで、かなり勉強になるだろうという哲学書です。注釈書を読みつつ自分の頭で論の展開を考えていくことで、哲学することそのものの訓練にもなります。そういうお勧めの古典ばかりです。ぜひ時間のあるときに一度じっくりどれかと取り組んでみてください。
プラトン『パイドロス』
藤沢 令夫『藤沢令夫著作集〈4〉プラトン『パイドロス』註解』 (February 2001) 岩波書店プラトン『饗宴』
マルシーリオ・フィチーノ.『恋の形而上学 : フィレンツェの人マルシーリオ・フィチーノによるプラトーン『饗宴』注釈』左近司祥子訳.、国文社、1985プラトン『国家』特に六巻、七巻 とプラトン『テアイテトス』ちくま学芸文庫
ハイデガー『真理の本質について プラトンの洞窟の比喩と『テアイテトス』』(ハイデッガー全集第34巻)細川亮一・イーリスブフハイム訳、1995
→ 哲学の入門講義などでも必ず取りあげられるこの箇所をハイデガーで深く読んでしまおう。プラトン『ソピステス』(『プラトン全集3 ソピステス ポリティコス(政治家)』岩波書店、1976)
ハイデガー『プラトン『ソピステス』』
納富信留『ソフィストと哲学者の間 : プラトン『ソフィスト』を読む』 (2002/02) 名古屋大学出版会プラトン『ピレボス』
マルシリオ フィチーノ『『ピレボス』注解―人間の最高善について』 (November 1995) 国文社
→ 中世初期には大量のプラトンの、中世中期からは大量のアリストテレスの注解が書かれた。プラトンのある著作を読むことは新プラトン主義の入門にもなって一石二鳥。アリストテレス『形而上学』
ハイデガー『アリストテレス『形而上学』第9巻』
水地 宗明『アリストテレスの神論―「形而上学ラムダ巻」注解』(October 2004) 晃洋書房アリストテレス『デ・アニマ』
水地宗明『アリストテレス『デ・アニマ』注解』晃洋書房 , 2002マルクス・アウレリウス『自省録』
水地 宗明『注解 マルクス・アウレリウス『自省録』』(August 1990) 法律文化社オッカム『大論理学』
渋谷克美『オッカム『大論理学』註解』1-5
→ ……なんでこんなすごいのが出ているのかよーわからんです。中世哲学のコアな部分がこれでほとんど読めるのではないでしょうか。デカルト『方法序説』
谷川 多佳子『デカルト『方法序説』を読む』岩波書店、2002
山田弘明『『方法序説』を読む : 若きデカルトの生と思想』世界思想社、1995デカルト『省察』
所雄章『 デカルト『省察』訳解』岩波書店、2004スピノザ『エチカ』
エドウィン・カーリー『スピノザ『エチカ』を読む』開龍美・福田喜一郎訳、文化書房博文社、1993ロック『人間知性論』
ライプニッツ『人間知性新論』
→ 上の本を読みながら読むと、ロックの見解とライプニッツの見解の二つが同時に理解できて一挙両得。まあ、そういうふうに読む人は普通いないだろうけど。ライプニッツ『モナドロジー』
池田 善昭 『『モナドロジー』を読む―ライプニッツの個と宇宙』世界思想社、1994
→ モナドロジーの見事な解説書。これ一冊あればライプニッツの哲学の主要な点が理解できる。ヒューム『人間本性論』
→ 懐疑論と言われているが、必ずしもそれのみが結論ではない。むしろ経験論を徹底させた、カントとも抗しうる内在の哲学として読むことができる。この流れはベルクソンにつながる。カント『純粋理性批判』
岩崎武雄『カント「純粋理性批判」の研究』勁草書房、1965
→ 第一批判の注解。カント哲学の問題点をも鋭く指摘する良書。
ハイムゼート『カント『純粋理性批判』注解』1・2、1999
ノーマン・ケンプ スミス『カント『純粋理性批判』註解』ヘーゲル『精神現象学』
寄川 条路『 ヘーゲル『精神現象学』を読む』 世界思想社、2004
イポリット『ヘーゲル精神現象学の生成と構造』岩波書店、1972
→ 世界で最も信頼されている『精神現象学』の注解書。ちょっと専門的だけれど、とてもよい本。ヘーゲル『哲学史講義』
山口誠一・伊藤功『ヘーゲル「新プラトン主義哲学」註解 : 新版『哲学史講義』より』知泉書館、2005シェリング『人間的自由の本質について』
ハイデガー『シェリング『人間的自由の本質について』』ニーチェ『ツァラトゥストラ』(ニーチェ全集9、10)ちくま学芸文庫
→ これは全集版の文庫版なので、詳細な註がひたすらついている。もうこれは注釈書が一緒についているのと同じです。ハイデガー『存在と時間』
マイケル・ゲルヴェン『存在と時間 註解』筑摩書房、2000
→ ハイデガーの議論をとてもかみくだいて説明し、哲学とはどういう思考なのかということをとても具体的に教えてくれる。非常に本質的な、良書です。ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」
今村 仁司『ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読』
中村元・紀野一義『般若心経・金剛般若経』岩波文庫、1960
→ これも詳細な解説がついている。仏教は完全に哲学だし、日常的にこのへんに接することもあるので、ぜひ現代語訳で一度読んでみよう。退屈なお経も面白く聞くことができるようになるかも?『バガヴァッド・ギーター』
→ これもこのサイトの専門ではないけれども、まあ教養としてこれくらいは読んでおくといいと思います。谷崎潤一郎『陰翳礼讃』中公文庫
→ 日本的な美について。哲学書ではないけれどね。本居宣長「源氏物語玉の小櫛」本居宣長全集〈第4巻〉筑摩書房、1989
→ 「もののあわれ」を論じた評論。日本の美その2。