D 

Die Frage der Laienanalyse (素人による精神分析の問題:1926)

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Die infantile Genitalorganisation (幼児期の性器体制:1923)

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 E 

Ein Kind wird gesclagen (子どもが叩かれる:1919)

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 K 

Klein (くらいん:Klein)

女性の精神分析家。幼児期の精神分析を重視し、喪の作業と不安の概念を大胆に発展させた。イギリスにわたって対象関係論を築いた。

妄想・分裂態勢抑鬱体制喪の作業メランコリー

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 O 


On tue un enfant (子どもが殺される)

セルジュ・ルクレール

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 P 


Psycho-Analysis (精神分析:1934)

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 U 


Uber die Psychogenese eines Falles von weiblicher Homosexualitat (女性同性愛の一ケースの発生史について:1920)

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 あ 


エディプス・コンプレックス (えでぃぷすこんぷれっくす:Odeipuskomplex, complexe d'OEdipe)

 フロイトの精神分析理論の中心。去勢コンプレックスの発見によってその創設的概念としての重みを得た。母親との近親相姦と父親の殺害という二つの欲望をに対しておかれる禁止が内在化されることで、人に文化への参入と、父親との同一化(超自我の形成)に道を開く重要な発達上の契機。フロイトはこれを三歳から五歳の間(男根期)においた。
 フロイトによると、リビドーは男性的なものであり、人は男根期までこのリビドーの支配の元男性的に発達する。男の子も女の子も母親に対して同じリビドー関係をもっており、母親は世紀的欲動の特権的対象である。やがて母親にペニスが欠如していることに気づいた子どもは、母親は去勢されていると見なす。
 この去勢の発見は男子のエディプス・コンプレックスを衰退させる。自分が父親に去勢されることをおそれた子どもは陽性エディプス(母親への愛着)を離れ、陰性エディプス(父親への憎しみ)からも離れて、父親的な形象への同一化を行い、超自我を形成する。男子はナルシシズムを保存し、自らの性を受け入れる。
女の子はより複雑な過程をたどるとされる。女の子は自分の性を変更せねばならず、ペニスの不完全な代理でしかないクリトリスを捨て膣へと性器の変更を行わなければならない。女の子が膣を発見するのは思春期であり、それまでクリトリスが唯一の性感帯である、とフロイトは考える。この「劣ったペニス」のために女の子はペニスに憧れ、それはやがて父親の子どもを持ちたいという欲望に変わる。母親は自分にペニスを与えてくれなかったために憎まれる。こうして女性は去勢をエディプス・コンプレックスに含めるので、これが解消されることはない。去勢の発見は女の子にナルシシズムを失わせ、羨望する父親(男性)への依存関係を作る。これは文化的規範となり、女性は他者の欲望の対象にならねばんらない、 とされるだろう。フロイトにとって女性は「暗黒大陸」であった。

メラニークラインがこの概念を刷新する。彼女は母親の太鼓的時間と父親のエディプス的時間の断絶と、膣の早期における役割を主張した。エディプス・コンプレックスは初期幼児期にすべてにわたって操作を行うとされる。
喋れない子ども(インファンス)は妄想・分裂態勢を通過することによって対象関係と自我を形成する。口唇・肛門の快感は性器的側面を含んでおり、それが次第に全体を組織化していく。女子には早期から膣感覚があり、子どもは早期から二つの性を認識する。
 6ヶ月ごろにインファンスは部分対象(妄想・分裂態勢の時期)から全体対象(両親を一つと見る時期、つまり抑鬱態勢)との関係に入る。両親に対するアンヴィヴァレンツから罪悪感と修復の欲望が生まれる。ここで超自我も象徴化の最初の活動とともに生まれ、欲動力動のなかで得られた対象関係とともに進展する。エディプス・コンプレックスは性器欲動を組織していく。
男の子では去勢への不安が、母親との同一化を支える羨望を克服させ、父親への羨望に入れさせる。女の子のペニス羨望は父親への同一化によって、母親がその体の内部を破壊するのではないかという不安から保護する。両親の双方とも主体の自立に寄与すると言える。エディプスの正常な進展は破壊欲動を統合させるだろう。

ラカンは去勢を象徴的な次元に位置づけてその支配と先行性を強調し、これを言語の次元と同一視した。この去勢は「父の名(否)」と呼ばれ、これが文化の父権主義的な性格を裏付けているとする。父親、ファルス、言語が根源的なものであり、主体はその後に生まれてくるものである。ファルスとは父親の機能であり、性単位である。「エディプスは無意識と同一体」とされる。よって男性においてもエディプス・コンプレックスは克服できない。母親殺しが合法化され、父殺しが象徴化されるとき、ひとは、ひとのなかの「もの(現実界)」の虜のまま、ひとにつきまとうインファンスの虜になってしまうだろう。
 ラカンは女性をパロールは持っているが、言語(これは個人と文化との関係を調節する論理的な組織であり、無意識を構成する去勢の掟により欲動的なものとの関係を調整する)を持っていないとする。また、現実界にあるものを種母、女性的なものとし、それは肉の器官であり、それを前にして言葉が止まってしまう何物かだと考えた。ひとが男とか女になるのは、抑圧と、女性/母性的なもの(これは動物性の刻印とされる)の放棄によってのみであり、女性には「種母」を放棄させることによって「母親」へと人間化してやらねばならない。

1987-1990「フリースへの手紙」
1900「夢解釈」
1901「愛情生活の心理学への寄与」
1905「あるヒステリー患者の分析の断片」(ドラ)
1912「トーテムとタブー」
1920「快感原則の彼岸」
1924「エディプス・コンプレックスの消滅」
1931「女性の性愛について」
Ernest Jones, Hamlet et OEdipe, traduit par Anne-Marie, preface de Jean Starobinski, Gallimard, 1967
クライン「羨望と感謝」
クライン「早期不安に照らしてみたエディプス・コンプレックス」
1953ラカン「パロールとランガージュの機能と領野」

無意識ナルシシズム同一化超自我昇華妄想・分裂態勢抑鬱体制欲動もの去勢、 インファンス、 ファルス女性性

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エネルギー (えねるぎー:Energir, energie, energy)

 心的エネルギーのこと。非生理的であり、性の領域に属する無意識的な力。拘束された緊張エネルギーの状態と、自由に動き回り放出を目指すエネルギーという異なった二種のエネルギーが心的生活の中には見いだされる、とされる。
 「死の欲動」の主張によりエネルギーは、他者と自我の原初的分離から生ずる緊張であると新たに示唆される。
 
1900『夢解釈』
1905「機知」
「無意識について」
1914「精神分析運動史」
1915「欲動とその運命」
1918「ある幼児期神経症の病歴より」
1920「快感原則の彼岸」
「自我とエス」
1925「精神分析」
1961 ラカン『精神分析の倫理』

欲動

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(あい:amour, love)

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 か 


去勢 (きょせい:Kastration, castration)

 男性においては去勢の脅威によって、女性ではペニスの不在によって決定づけられた、主に無意識における一連の主観的帰結の全体のこと。フロイト理論における去勢はエディプス・コンプレックスと結びつけられたときに、その射程の全貌を現す。
ラカン理論では、その帰結は主体がシニフィアンの元に従属することによって決定づけられているとされる。

1908「幼児期の性理論」
1909『夢判断』第二版
ユング「個人の運命における父親の役割」
1909「ある五歳男児の恐怖症分析」
1911「自伝的に……」(症例シュレーバー
1913「トーテムとタブー」
1923「エディプス・コンプレックスの消滅」
1925「解剖学的な性の差別の心的帰結の二、三について」
1927「制止、症状、不安」
1931「女性の性愛について」
1937「終わりある分析と終わりなき分析」
1938「精神分析学概説」

1956-57ラカン『対象の関係とフロイト的構造』
1958ラカン「ファルスの意味作用」
ラカン『アンコール』

無意識、 主体、 エディプス・コンプレックスファルス女性性

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享楽 (きょうらく:jouissance)

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強迫症 (きょうはくしょう)

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強迫神経症 (きょうはくしんけいしょう)

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 さ 


自我 (じが:Ich, moi, ego)

意識の座であり、また無意識の表出の場である。エスから分化したもの。自我はとりわけ想像的な、それゆえ同一化とナルシシズムの審級である。

1994 「防衛−神経精神病」
1895年1月24日の手紙
1895 「科学的心理学草稿」←『セミネールII』
1896 「防衛神経精神病についての新たな指摘」
1897年5月31日のフリースへの手紙
1900 『夢の解釈』、1911年と14年の加筆も←『セミネールII』
1901 「夢について」
1914 「ナルシシズムを導入するために」
1915 「欲動とその運命」
1920 「快感原則の彼岸」←『セミネールII』
1921 「集団心理学と自我の分析」
1923 「自我とエス」
1926 「制止、症状、不安」
(セミネールII『フロイト理論と精神分析技法における自我』)

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女性性 (じょせいせい:feminite, femininity)

 男の子におけるのそれとはまったく異なるものとなる去勢の発見と、エディプス・コンプックスが引き起こす一連の複雑で不透明な過程の結果として女性性は形成される。
 「女性性の本質は無意識においては見いだされない」とするフロイトの見解はさまざまな攻撃にあってきた。しかし、フロイトが女性性の無意識として性格づけた受動性と去勢は、女性性の説明としては不十分でありながらも、受動と能動に引き裂かれる女性の享楽の特殊性と、女性固有の分裂を示している。

フロイトによると、幼児期まで女子と男子の差はなく、両性具有的とされる。両性とも自分にはペニスがあると思っているのがこの時期の特徴であり、それは三歳から五歳ぐらいの間(この時期は男根期を形作る)まで続く。やがて女の子は自分のクリトリスが男性のそれより劣っていることを知り、クリストリスによるマスターベーションの放棄へと導く(去勢の発見)。次に、女の子はこの劣等生を母親が自分を不完全に生んだためだと思い、母親との愛着から離れる。第三に、女の子は彼女が持ちたいと思っている器官を持つ父親へと向かい(ペニス羨望)、父親からこれと類似のものを受け取ることを期待するようになる。これはやがて、ペニスの象徴的な等価物である子どもを受け取ることの期待へと変わるだろう。
 去勢コンプレックスは、男の子においては両親へのリビドー的備給を終息させ、エディプス・コンプレックスを消滅させるのに対し、女の子においては「港の中に非難するように」父親への愛の中へ逃げ込ませるのである。こうして女の子はエディプス・コンプレックスに入り込み、それは終結することはない。結果、女の子は自分への愛着への依存を継続させ(幼児期の性器体制、つまり口唇愛や肛門愛を保存させ)、超自我の形成もできなくなってしまう。
また女の子がペニスの欠如に反抗して、この女性性の展開が妨げられることもある。その方法の一つは<すべての性愛の放棄>であり、女の子は男根的能動性を放棄し、結果として抑圧がすべての能動性を押さえ込んでしまう。あるいは<男性コンプレックス>を生み出すことであり、女の子は去勢を否認し、男らしく振る舞うことを幻想する。これは女の子を同性愛へと導くだろう。
ゆえに女の子の女性性の獲得は困難なものであることは容易に予測されるだろう。男の子は父親にファルス的力を認めることによって父親への同一化を可能にし、その男性アイデンティティを獲得することができるが、女の子はペニスを持っていなかった母親に幻滅したために、女性の価値そのものも引き下げられており、母親への同一化を達成することができない。女性性は無意識的に剥奪に同一化しているために、女の子が積極的に女性のアイデンティティを構成するのは実に困難である。

 メラニー・クラインは女性性の源泉を、母親に対する女の子の受動的口唇的関係の中に見た。この関係は乳房からペニスへと交換されることにより、父親へと引き継がれる。ペニスはより満足できる乳房として望ましいからである。乳房とペニスを所有するという母親への同一化は最初にあるものであって、女性性の原型を構成するものであろう。
ヘレーネ・ドイッチュはフロイトと同じく女の子におけるファルスの原初的な機能を重視したが、マゾヒズムと受動性によって特徴づけられる女性性の本質を主張した。それらは母親への原初的な依存関係の中に見いだされ、マゾヒズム的満足を第一のものとした。具体的には生理や処女喪失や出産による痛みへの性愛化のみが、女性に自身の運命を引き受けさせることができる、とされた。

ラカンは父親の機能の根本的な次元を強調した。幼児は母親との依存的な関係において不安を抱いている。そのような受動性が<他者>の全権力にゆだねられていることを意味しているからだ。父親による近親相姦の禁止は、むしろ母親に対して子どもとの関係において制限を課すのである。母親の全能にたいするこの制限のみによって、子どもは母親への依存から逃げることができ、全能な母親という幻想からの分離が可能になる。父親は救済者として現れるのである。
 母親の善意に依存している子どもは一方では、遺棄の可能性に直面しており、他方ではあるどん欲な享楽の対象でもある可能性に直面している。母親がペニスを持っていないことを確認しても(想像的去勢)、両性の子どもは母親に欠けたものであるファルスであろうとするために、その依存から抜け出ることはない。父の掟によって母の享楽にたいして科される制限によってのみ、象徴的次元が達成させるのである。ここで母親が自分を越える審級に、子どもを捨てるのも子どもを享楽するのも禁じるような審級に従うことが明らかになる。この父親の機能は、母親への愛から父親への愛への道のりを条件付け、ここにおいて女の子と男の子の運命が分かれることになる。
父親がファルスを持ったものとして出現して以降、父親は母親が持っていた全能性を、すなわち無限の享楽を伴った幻想を引き継ぐ。男の子はここで男性性を保持するために享楽の対象となることを断念するが、女の子は逆に、ファルスを父親から得る希望によってその愛の期待へととどまり続ける。このように、他者の対象になることはマゾヒズムである。こうして女の子は母親のファルスとなろうとすることから、ファルスを持つことへの期待へと移るが、その傾向にはいまやある限定がかかっており、受動性とも釣り合いを取らせている。しかしこの受動性は危険なものであり、それは<他者>の享楽を前にした後退である。こうして、 女性態勢は冒頭で予告したとおり、<他者>の享楽(受動性)と、ファルス的享楽(去勢)の間で引き裂かれていることになる。ゆえに女性性の全体というものはない。
さて、女性は全能の父と結びついたままであり、その病理的性格はよく女性の分析において見いだされる。女性が神経症から抜け出すには、父親もまた象徴的去勢によって「線を引かれ」なければならない。ここにおいて、マゾヒズム的な<他者>の享楽(la jouissance de l'Autre)とは異なった<他>の享楽(l'Autre jouissance)、すなわち死んだ父親によって具現化されるような絶対的享楽の代わりに、まさにその不在の場所において出現するような逆説的な享楽が開かれる。ペニスのさやの感受性は、女性の享楽の否定的な二面を結ぶことによって、ペニス羨望と受動性を和解させるだろう。

1923「幼児期の性器体制」
1924「エディプス・コンプレックスの消滅」
1925「解剖学的な性差の二三の帰結について」
1931「女性の性愛について」
1933『続精神分析入門』第33講「女性的ということ」

カレン・ホーナイ「女らしさからの逃避」『女性の心理』(全集第一巻)誠信書房、1982
メラニー・クライン『羨望と感謝』など
アーネスト・ジョーンズ
ヘレーネ・ドイッチュ『母親の心理』日本教文社(絶版)なぜか女子大の所蔵が多い……
ラカン「女性の性欲についての会議にむける教示的意見」
ラカン「フロイトの無意識における主体の壊乱と欲求の弁証法」
1964ラカン『精神分析の四つの基本概念』
1972ラカン『アンコール』

エディプス・コンプレックス無意識ファルス同一化去勢

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昇華 (しょうか)


1908「文明化された性的道徳と現代の神経症疾患」
1912「愛情生活の最も一般的な蔑視の傾向について」
1917『精神分析入門』
1930「文化への不満」
クライン1930

エディプス・コンプレックス

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神経症 (しんけいしょう:Neurose )

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精神病 (せいしんびょう:psycohse )

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精神分裂病 (せいしんぶんれつびょう:schizoflenie )

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 た 


対象a (たいしょうあー:objet a)

欲望の原因である対象。この世の対象ではなく、乳房、糞便、声、まなざしという身体の四つの破裂物に帰せられる。

フロイト「科学的心理学草稿」
『否定』←「精神分析の倫理」
ウィニコット「移行対象」
ラカン「ダニエル・ラガージュの報告についての短評」
「フロイトの無意識における主体の転覆と欲望の弁証法」
1961-62『同一化』
1962-63『不安』
1966-67『幻想の論理』
1967-98『精神分析的行為』
1969-70『精神分析の裏面』
1974『R.S.I.』

妄想・分裂態勢

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超自我 (ちょうじが:Uber-ich)


1923『自我とエス』
1933『続精神分析入門』
1930「文化への不満」

エディプス・コンプレックス

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転移 (てんい:Ubertragung, transfert, transference)

患者の分析家への強い情動的な関係。自動的に<いまここ>において始まり、患者の主体的な組織化が対象aによって司られていることを示す。

「ヒステリー研究」
1905「症例ドラ」
1912「転移の力動性について」
(セミネールVII『転移』)
(セミネールXI)

→主体

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同一化 (どういつか:Identifizierung, identification, identification)

外部の自我の同化、その結果、同化した者はいくつかの点で他者のように振る舞う。彼は模倣しているのであり、自分自身そうと知らないまま他者を自分に受け入れる。

1897年5月31日のフリースへの手紙
1900 『夢の解釈』第四章
1905 「症例ドラ」
「喪とメランコリー」
1921 「集団心理学と自我の分析」
1923 「自我とエス」
(セミネールIX『同一化』)

妄想・分裂態勢エディプス・コンプレックス女性性

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 な 


ナルシシズム (なるししずむ:Narzissmus, narcissisme, narcissism)

主体がある特別な対象、つまり自身にいだく愛。

1910 『性欲論』への註
1914 「ナルシシズムを導入するために」←「セミネールI」
「不気味なもの」
『精神分析入門』第26講←「精神分析における攻撃性」
1921 「集団心理学と自我の分析」←「心的因果性について」
1923 「自我とエス」←「セミネールI」
(セミネールI)

→主体、 妄想・分裂態勢欲動エディプス・コンプレックス

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 は 


パラノイア (ぱらのいあ:paranoia )

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ヒステリー (ひすてりー:Hysteri )

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ファルス (ふぁるす:phallus)

 自らの性の引き受けが問題となるところの象徴。

1880ヤコブ・ベルネイ
ヤンブリック
1900『夢解釈』
1905「性理論三篇」とこの1915年版での加筆(第二編「幼児の性愛」の第五章と第六章への)
1913「強迫神経症の気質」
1920「快感原則の彼岸」
1923「幼児期の性器体制」
1958ラカン「ファルスの意味作用」
1960ラカン「主体の転覆と欲望の弁証法」
1971-72ラカン「精神分析の知についてのサンタンヌでの対談」

去勢エディプス・コンプレックス女性性

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排除 (はいじょ)


「シュレーバー症例」
「症例狼男」

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反復(反復強迫) (はんぷく:Wiederholung, repetition, repetition)

 主体の様々な表象や言説、ふるまい、行為において、あるいは主体が生きる諸状況において、多くの場合は彼の知らない間に、いずれにせよ彼の側からのはっきりした意図なしに、ある特定のものが何度となく回帰してくるという事象。

「不気味なもの」
1914「想起、反復、徹底操作」;過去の感情の反復としての惚れ込み。
1916「精神分析からみた二、三の性格類型」;イプセン『ロスメルスホルス』
1920『快感原則の彼岸』;Fort-da。反復による外傷の支配。主体の根源的な無力さの刻印としての反復。
ラカン1954-55「『盗まれた手紙』のセミネール」;シニフィアンの連鎖の原理としての反復。
ラカン1964『セミネールXI』;反復の二側面。アウトマン=象徴的連鎖の原理。チュケー=外傷。反復=不可能な現実界。
ドゥルーズ1968『差異と反復』;未来の反復としての死の欲動。

→主体

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不安 (ふあん:Angst, angoisse)

 名づけられない何かを予期する主体において無意識的な感情の代わりに表われる、多少なりとも強い不快な情動。

1894年6月のフリースへの手紙
1926 『制止、症状、不安』
(セミネールX『不安』)

→主体、 抑鬱体制

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 ま 


メランコリー (めらんこりー:melancolie )

抑鬱体制Klein

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もの (もの:Das Ding )

エディプス・コンプレックス

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喪の作業 (ものさぎょう:Trauerarbeit, travail de deuil, mourning)

自身の身近な人を喪失した状態は喪と呼ばれ、悲嘆と精神的な苦悩を伴い、真性の抑鬱反応を引きおこすこともある。これを克服するために必要な精神内の作業のこと。

フリースへの手紙
1907 「グラディーヴァ」
症例ねずみ男
1911 心的過程の二原則
1913 『トーテムとタブー』
1914 「ナルシシズム」
 夢理論のメタ心理学的補遺
1917 喪とメランコリー
1920 快感原則の彼岸
クライン 1940 「喪および喪と躁鬱状態との関連」
ニコラ・アブラハム 1987 『表皮と核』L'Ecorce et le noyau
アブラハム&トロック『狼男の言語標本』Le Verbier de l'homme aux loups

妄想・分裂態勢抑鬱体制Klein

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無意識 (むいしき:das Unbewusste, inconscient, unconscious)

意識のある瞬間での欠けている内容で、精神分析理論の中心。

1900『夢の解釈』
1915「無意識について」
(セミネールXI)

欲動、 去勢コンプレックス、 去勢エディプス・コンプレックス女性性

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妄想・分裂態勢 (もうそうぶんれつたいせい)

 乳児の情動生活は、母親の乳房の喪失と再発見によって特徴づけられている。すると乳児は満足感を与える「よい」対象と、欲求不満にさせ憎まれる迫害的な「悪い」対象が存在するという感覚が生まれる。こうした経験に平行して、投射と取り入れによる精神過程が働き、原初的な対象の分裂を強化する。つまり、乳児は二つの乳房に自分の両方の欲動をそれぞれ投射し、同時に取り入れによって二つの乳房を内部に構成する。これが妄想・分裂的な防衛機制である。この機制によって乳児は、迫害し給付を与える対象と、救ってくれる愛の対象を別々に保存し、自我に相対的な安全を保証する。
 この態勢は抑鬱態勢を準備する。

クライン「不安と罪悪感の理論について」
早期不安に照らしてみたエディプス・コンプレックス

同一化ナルシシズム対象a抑鬱体制喪の作業Kleinエディプス・コンプレックス

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 や 


抑圧 (よくあつ:Verdrangung, refoulement, repression)



1915 「無意識について」
1923 「幼児期の性体制」
1925 「制止、症状、不安」第八章
1926 『精神分析入門』

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抑鬱体制 (よくうつたいせい:depressive Einstellung, positon depressive)

 子どもの発達にとっての中心的な態勢で妄想・分裂態勢の後にくるとされる。クラインの用語。
 「よい」対象と「悪い」対象が同じものだと気づいた乳児は、自分の愛の感情と破壊欲動を統合し始める。この間に同じ対象のよい面や悪い面が、愛と憎しみが接近させられたり、母親を全体的対象として徐々に取り入れるなど複雑なプロセスが作動する。
 しかし母親を取り入れるにあたって、この対象を破壊してしまうかもしれないという抑鬱的不安が生じる。やがて愛の対象を失ってしまうかもしれないという不安と、恐怖を与える対象によって迫害されるかもしれないという不安が交代して出現するようになる。これが抑鬱態勢である。この態勢で乳児は、愛の対象を自分の憎しみよって傷つけたり破壊したりするのではないかとおそれ、罪責感に悩まされる。
 この態勢が「練り上げられた」とされるのは乳児が自分の愛の対象を内面化したときである。この結果、不安は弱まり、内部の安心感が生まれる。これは統合された自我や、よい対象関係を準備する。だがこの態勢期の喪失感は悲しみを体験するたびに再体験され、抑鬱態勢が活性化されるだろう。
1.喪の作業は乳児期の抑鬱態勢の練り上げの再体験であり、これが正常になされていないと喪の経過も病的になる。
2.抑鬱態勢の練り上げの失敗は、躁的防衛が優性になることと結びつく。
3.抑鬱態勢を考慮することは、メランコリーの問題を理解する上で不可欠である。

妄想・分裂態勢不安喪の作業メランコリー Kleinエディプス・コンプレックス

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欲動 (よくどう:Trieb, pulsion(instinct), drive)

 分析理論においては、主体の基体的エネルギー、主体の機能に必要不可欠な力であり、それは主体の最も深いところで働いている。
 一次局所論においては自我保存欲動(飢え)と性欲動(愛)が対比させられて性感帯が後者の源として指定される。第二局所論においては生の欲動と死の欲動が対比させられ、欲動が反復原則に従わせられた。ラカンはトポロジー的構築によってフロイトの欲動概念を整理した。

1905『性欲論三篇』への注釈
1905「機知―その無意識との関係」
1910「精神分析の観点から見た心因性視覚障害」
1914「ナルシシズム」
1917「欲動とその結末」
1920「快感原則の彼岸」
1924「マゾヒズムの経済問題」
ラカン セミネールXI

無意識ナルシシズムエネルギーエディプス・コンプレックス

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欲望 (よくぼう:Wunsch, desir)


1899
1900『夢の解釈』
「症例ドラ」

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Wordsworth - Version2.6.0 (C)1999-2002 濱地 弘樹(HAMACHI Hiroki)