Henri Bergsn(1859.10.18-1941.1.4)
ベルクソン
持続とは相互に浸透し合う異質性として、そのつどあらたに生成していく。あらゆる持続は、その瞬間のそれぞれが過去のなかには含まれていない新奇性という要素を取り入れており、本質的に不完全である。持続なき現在は虚構であり、物理的過程ですら見事な脈動的構造をもっている。時間はあらゆる存在の本質的カテゴリーなのである。
空間を地として機能する知性と、持続を把握する直観とを生の進化のなかから導入すること。では、生は知性をいかにして補完しうるのかが問題となるだろう。
著作
1889『意識に直接与えられたものについての試論』Essai sur les Donnees Immediates de la Conscience, Presses Universitaires de France, 2003
1919『精神のエネルギー』
1922『持続と同時性』
1932『道徳と宗教の二源泉』社会学
1941『思想と動くもの』岩波文庫、
「デカルト主義やアリストテレス主義に近い概念のうっとうしい塊の後にスピノザが持っていたのは、直観、どんな決り文句でも、それがどんなに単純でも、表現できないほど単純な直観なのです」「スピノザがデカルト以前に生きたとすれば、勿論書いたものは違っていたでしょうが、この根源的な直観に遡れば遡るだけ、スピノザが生きて書く限り、やはりスピノザの思想が確かにあるのだとよりよく納得できるのです」(「哲学的直観」)
『ベルクソン講義録〈1〉心理学講義・形而上学講義』法政大学出版局、1999.
『ベルクソン講義録〈2〉美学講義―道徳学・心理学・形而上学講義』法政大学出版局、2000
『ベルクソン講義録〈3〉近代哲学史講義・霊魂論講義』法政大学出版局、2000
『ベルクソン講義録〈4〉ギリシャ哲学講義』 法政大学出版局、2001
参考文献
ジャン・ルイ・ヴィエイヤール=バロン『ベルクソン』文庫クセジュ〈742〉、白水社、1993.
良書
市川 浩『ベルクソン』講談社学術文庫、講談社、1991.
ドゥルーズ編『記憶と生』未知谷、1999.
ドゥルーズ『差異について』訳、青土社、2000.
ドゥルーズ『ベルクソンの哲学』宇波彰訳 、法政大学出版局、1974.
ジャンケレヴィッチ『アンリ・ベルクソン』阿部・桑田訳、新評論、1988.
檜垣達哉『ベルクソンの哲学 生成する実在の肯定』勁草書房、2000年
ドゥルーズ的な読解。
篠原資明『漂流思考 ベルクソン哲学と現代芸術』(講談社学術文庫 1333)1998
守永 直幹 『未知なるものへの生成―ベルクソン生命哲学』 (2006/01) 春秋社
論文ジャン・イポリット「ベルグソンにおける記憶の諸相」広瀬浩二訳『現代思想』(青土社)、1994年9月臨時増刊号、Vol. 22-11, 219-232頁。
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