シグムント・フロイト
Sigmund Freud(1856-1939)

著作年表><著作><入門文献><発展文献><リンクラカン精神分析用語事典

 人は言語を獲得した瞬間から「生命」の次元から追放され、象徴的な次元、つまり死の欲動とともに生きることになった。それは人間の持つ過剰な幻想力のせいでもある。想像界こそが象徴界をまねいたのだ。ともあれ、そして人は失った直接的な命を無意識のうちに追い求めるようになるだろう。人はその追い求める失った対象を知らず知らずのうちに他人のなかに見いだそうとする。これは人が一人きりで生きているのではない限り当然のなりゆきだ。これが転移と呼ばれるものであり、精神分析はその時点からはじまるだろう。すべては愛と死をめぐる人間の宿命に関わっている……

 日本ではユング派などあいまいなフロイト理解のまま臨床に関わっている者が多いみたいだが、これはなげかわしいとしか言いようがない。フロイトの精密な人間についての知解は絶対に役に立つ。これを通過しないことには常識的あるいは神秘的な「心」という概念のまわりをうろちょろするだけに終わってしまわないのだろうか。ことは臨床家にかぎらない。フロイトは私たちの「心 」つまり自分 自身についての思いこみを強力に破壊するだろう。そしてようやく私たちは生き始めることができるだろう。


フロイト著作年表(○のうちの数字は著作の翻訳についている番号と対応)

1856.5.6. モラビア(チェコ)のフライベルクにて誕生
1960 フロイト一家、ウィーンへ移住。
1882 マルタと婚約G、臨床医を目指し始める。ニューロン理論を発表。
    「ザリガニの神経繊維と神経細胞の構造」
    「神経系の諸要素の構造」
1885 パリ留学G、シャルコーのもとで睡眠療法を知る。
1886 開業、結婚。
1887 フリースとの交際始まる。(『フリースへの手紙』に収録)
1889 催眠カタルシス療法を実施しはじめる。
1890 ブロイアーとのヒステリー共同研究はじめる。
1891 「失語症の理解のために」@
    「小児の半側性脳性麻痺の臨床的研究
1893 「器質性運動麻痺とヒステリー性運動麻痺の比較研究……」@
    「小児期の脳性両側麻痺に関する知見」(神経学での歴史的業績)
    「ヒステリー現象の心的機制について(予報)」
    「シャルコー」@
1894 「防衛神経精神病」E
1895 「「不安神経症」という特定症候群を神経衰弱から分離する理由について」(選集10)
    「強迫と恐怖症―その心的メカニズムと病因」@
    科学的心理学草稿(未発表)F (フロイト郵便にて全訳進行中)
    『ヒステリー研究』Breuerとの共著(症例ミス・ルーシー・R、抵抗)F
 .7.24 「イルマの注射の夢」の自己分析をはじめる(精神分析の誕生)。
1896.3 「神経症の遺伝と病因」で「精神分析」という言葉を初めて使う@
.10.23 父ヤコブの死。フリースとの自己分析始まる(誘惑説から性的本能説へ)。
    Weitere Bemerkungen uber die Abwehr-Neuropsychosen
    「ヒステリー病因論」
1897 フリースとの親密な交流(エディプス・コンプレックスの発見)。
1898 「神経症の原因としての性」(選集10)
    「忘却の心的メカニズムについて」@
1899 「隠蔽記憶について」E
  .11 『夢の解釈』
1901 「夢について」I
    『日常生活の精神病理』C
1902 心理学水曜会はじまる。
1904 「フロイトの精神分析の方法」H
1905
「精神療法について」H
    『性理論三篇』D
    「あるヒステリー患者の分析の断片」(症例ドラ、転移D
    「機知、その無意識との関係」C
    「心的治癒」H
1906 「神経症病因論における性の役割についての私見」I
1907 「グラディーヴァにおける夢と妄想」B
    「強迫行為と宗教的礼拝」D
    「子どもの性知識によせて」(『性愛と自我』)


1908 「性格と肛門愛」D
 .4.26 ザルツブルクにて第一回国際精神分析大会を開催。
1909 「強迫神経症の……」(症例ねずみ男、喪の作業)H
 .8-10 渡米、クラーク大学で講演。「アメリカはできそこない」
    「五歳男児の恐怖症……」(症例ハンス、去勢)D
1910 国際精神分析協会(IPA)が発足。
    「精神分析について」
    「レオナルド・ダ・ヴィンチ」B
    「精神現象の二原則に関する公式」
1911 「自伝的に……」(症例シュレーバー、ナルシシズム)H
1912 「転移の力動性について」
1913 「トーテムとタブー」B→レヴィ=ストロース
    「小箱選びのモチーフ」B
    「分析療法の開始について」H
1914 第一次大戦(-1918)勃発。
    「精神分析運動の歴史について」Iでユングを激しく批判。
    大戦による困窮の中、「ナルシシズムを導入するために」Dを執筆。
    寒いウィーンの冬の中暖房もないのに「ミケランジェロのモーゼ」Bを執筆。
    こごえる手で「想起、反復、徹底操作」Eを執筆。寒いって。
1915 「欲動とその結末」E
    「無意識について」E
    「戦争と死」D
1916 「喪(悲哀)とメランコリー(鬱)」E
1917 『精神分析入門』
    「『詩と真実』の中の幼年時代の一記憶」B
1918 「ある幼児期神経症の……(症例狼男、排除H
1919 「不気味なもの」B
    「精神分析療法の道」
1920快感原則の彼岸」(エロスとタナトスの二元論)E
1921 「集団心理学と自我の分析」(同一化)E
1922 「嫉妬、パラノイアおよび同性愛」
1923 「自我とエス」(構造論導入)E
    口蓋を手術。
1924 「神経症と精神病」
    「マゾヒズムの経済問題」
1925 「マジック・メモ」E←デリダ「フロイトとエクリチュールの舞台」
    「自己を語る」C
    「否定」E(判断機能の形成としての属性判断と存在判断)→クライン
    「両性の解剖学的差異からの心理的帰結」D
1926 「制止、症状、不安」E(エス抵抗)
1927 『ある幻想の未来』B
    「フェティシズム」D
1928 「ドストエフスキーと父親殺し」B
    「ユーモア」B
1930 「文化への不満」Bにてメラニー・クラインに言及。
1931 「女性の性愛について」D
1933 『続入門』
1936 マリエンバートにて国際精神分析大会が開催される。ラカンの鏡像段階論が発表された。フロイトは不参加。
1937 「終わりある分析と終わりなき分析」E
    「分析技法における構成の仕事」H
1938.3 ナチス、オーストリアに侵入し、フロイトの家宅に押し入る。
 .6.4 フロイト、パリを経由してイギリスへ亡命。
1939 フロイト、癌に冒されつつも「モーゼと一神教」『精神分析概説』(未完)「防衛過程における自我の分裂」などを執筆。痛いって。
.9.23 死亡。享年83歳。学問の悪魔に魂に売った彼の魂はグリーン・ガーデンに眠る。


フロイトの著作

『失語症と神経症』安田一郎訳、誠信書房、1974@
初期フロイト。

失語論:批判的研究』 金関猛訳 ; 石澤誠一解題、平凡社、1995.2

フロイト フリースへの手紙 1887-1904ジェフリー・ムセイエフ マッソン編集、誠信書房、2001A


『フロイト著作集』井村恒郎ほか編、人文書院、1968-

1:『精神分析入門(正・続)』 懸田克躬 ・高橋義孝訳
これよりも新潮文庫の方が訳は新しい。中公のは古いので注意。

2:『夢判断』高橋義孝訳、1968
これはこの人の訳しか手に入りにくい。改訂版がでているので注意。

3 : 『文化・芸術論』 高橋義孝 ほか訳、1969B

「W・イェンゼンの小説『グラディーヴァ』にみられる妄想と夢」池田紘一訳、5
「詩人と空想すること」高橋義孝訳、81
「レオナルド・ダヴィンチの幼年期のある思い出」高橋義孝訳、90
「トーテムとタブー」西田越郎訳、148
「小箱選びのモティーフ」高橋義孝訳、282
「ミケランジェロのモーゼ像」高橋義孝訳、292
「無常ということ」高橋義孝訳、314
「『詩と真実』中の幼年時代の一記憶」高橋義孝訳、318
「無気味なもの」高橋義孝訳、327
「否定」高橋義孝訳、358
「ある幻想の未来」浜川祥枝訳、362
「ユーモア」高橋義孝訳、406
「ドストエフスキーと父親殺し」高橋義孝訳、412
「文化への不満」浜川祥枝訳、431
「火の支配について」木村政資訳、497

「トーテムとタブー」などは精神分析そのものにとっても重要。

4 : 『日常生活の精神病理学他』 懸田克躬ほか訳、1970C

「日常生活の精神病理学」池見酉次郎・高橋義孝訳、5
「機知――その無意識との関係」生松敬三訳、237
「自己を語る」懸田克躬訳、422
「ある微妙な失錯行為」吾郷晋浩訳、477

「機知」も含む。著作集の中で一番存在感が薄い が、ラカンは非常にこれらを重要視した。

5 : 『性欲論 ; 症例研究』 懸田克躬, 高橋義孝ほか訳、1969D

「性欲論3篇」懸田克躬・吉村博次訳、7
「幼児期の性理論」懸田克躬訳、95
「ナルシシズム入門」懸田克躬・吉村博次訳、109
「性格と肛門愛」懸田克躬・吉村博次訳、133
「女性の性愛について」懸田克躬・吉村博次訳、139
「リビドー的類型について」懸田克躬・吉村博次訳、157
「解剖学的な性の差別の心的帰結の2、3について」懸田克躬・吉村博次訳、161

「ある5歳男児の恐怖症分析」高橋義孝・野田倬訳、173
「あるヒステリー患者の分析の断片」細木照敏・飯田真訳、276
「子どものうその2例」飯田真訳、367
「児童の性教育について」山本由子訳、371
「強迫行為と宗教的礼拝」山本巌夫訳、377
「欲動転換、とくに肛門愛の欲動転換について」田中麻知子訳、385
「呪物崇拝」山本巌夫訳、391
「戦争と死に関する時評」森山公夫訳、397

症例ハンス・症例ドラを含む。

6 : 『自我論・不安本能論』 井村恒郎, 小此木啓吾ほか訳、1970E

「防衛−神経精神病」井村恒郎訳、7
「隠蔽記憶について」小此木啓吾訳、18
「精神現象の2原則に関する定式」井村恒郎訳、36
「精神分析における無意識の概念に関する2、3の覚書」小此木啓吾訳、42
「想起、反復、徹底操作」小此木啓吾訳、49
「本能とその運命」小此木啓吾訳、59
「抑圧」井村恒郎訳、78
「無意識について」井村恒郎訳、87
「精神分析的研究からみた2、3の性格類型」佐々木雄二訳、114
「悲哀とメランコリー」井村恒郎訳、137
「快感原則の彼岸」小此木啓吾訳、150
「集団心理学と自我の分析」小此木啓吾訳、195
「嫉妬、パラノイア、同性愛に関する2、3の神経症的機制について」井村恒郎訳、254
「自我とエス」小此木啓吾訳、263
「マゾヒズムの経済論的問題」青木宏之訳、300
「エディプス・コンプレックスの消滅」吾郷晋浩訳、310
「神経症および精神病における現実の喪失」井村恒郎訳、316
「制止、症状、不安」井村恒郎訳、320
「終りある分析と終りなき分析」馬場謙一訳、377

メタサイコロジーに関する論文が収められている。フロイト理論の中心。

7 : 『ヒステリー研究・科学的心理学草稿』 懸田克躬・小此木啓吾訳、1974F

『ヒステリー研究』、懸田克躬訳、3
『科学的心理学草稿』、小此木啓吾訳、231

初期フロイト。ここから読み始めるべきかも。

8 : 『書簡集』 生松敬三ほか訳 、1974G
当然全訳ではない。フリースへの手紙については別訳がでた。

9 : 『技法・症例篇』 小此木啓吾訳、1983H

◇技法篇
「フロイトの精神分析の方法」小此木啓吾訳、7
「精神療法について」小此木啓吾訳、13
「心的治療(魂の治療)」小此木啓吾訳、25
「精神分析療法の今後の可能性」小此木啓吾訳、44
「「乱暴な」分析について」小此木啓吾訳、55
「精神分析療法中における夢解釈の使用」小此木啓吾訳、62
「転移の力動性について」小此木啓吾訳、68
「分析医に対する分析治療上の注意」小此木啓吾訳、78
「分析治療の開始について」小此木啓吾訳、87
「精神分析治療中における誤った再認識(「すでに話した」)について」小此木啓吾訳、108
「転移性恋愛について」小此木啓吾訳、115
「精神分析療法の道」小此木啓吾訳、127
「分析技法前史について」小此木啓吾訳、136
「分析技法における構成の仕事」小此木啓吾訳、140
「防衛過程における自我の分裂」小此木啓吾訳、152
「精神分析学概説」小此木啓吾訳、156
◇症例篇
「強迫神経症の一症例に関する考察」小此木啓吾訳、213
「自伝的に記述されたパラノイア(妄想性痴呆)の一症例に関する精神分析的考察」小此木啓吾訳、283
「ある幼児期神経症の病歴より」小此木啓吾訳、348
「ハンス少年分析記後日談」小此木啓吾訳、455

残りの症例すべてと技法論。『フロイド選集』の駄目な訳と訳者は同じ。

10:『文学・思想篇1』 高橋義孝・生松敬三ほか訳、1983I

「ヒステリーの病因について」馬場謙一訳、7
「神経症の原因としての性」馬場謙一訳、33
「度忘れの心理的メカニズムについて」浜川祥枝訳、50
「夢について」浜川祥枝訳、58
「神経症病因論における性の役割についての私見」木村政資訳、101
「「文化的」性道徳と現代人の神経過敏」高橋義孝訳、108
「ヒステリー症者の空想と両性具有に対するその関係」高橋義孝訳、128
「ノイローゼ患者の出生妄想」浜川祥枝訳、135
「精神分析について」青木宏之訳、139
「「愛情生活の心理学」への諸寄与」高橋義孝訳、176
「精神分析的観点から見た心因性視覚障害」青木宏之訳、195
「原始言語における単語の意味の相反性について」浜川祥枝訳、201
「自慰論」高橋義孝訳、208
「精神分析への関心」木村政資訳、219
「夢に出てくる童話素材」野田倬訳、240
「証拠としての夢」野田倬訳、246
「精神分析運動史」野田倬訳、255
「ある象徴と症状」木村政資訳、311
「ある具象的強迫観念との神話的類似物」高田淑訳、313
「夢理論のメタ心理学的補遺」木村政資訳、315
「精神分析に関わるある困難」高田淑訳、325
「「愛情生活の心理学」への諸寄与――処女性のタブー」高橋義孝訳、333
「補遺小論集」348

過去の『フロイド選集』で訳されていたものは第一期で訳されなかったのであちこちにばらばらにフロイトの論文がちらばっている。ので探すのも大変よ。

11: 『文学・思想篇2』高橋義孝, 生松敬三ほか訳、1984J

「「子どもが叩かれる」」高田淑訳、7
「女性同性愛の1ケースの発生史について」高橋義孝訳、30
「夢とテレパシー」高田淑訳、54
「「精神分析」と「リビード理論」」高田淑訳、78
「幼児期の性器体制」吾郷晋浩訳、98
「17世紀のある悪魔神経症」池田紘一訳、102
「精神分析要約」吾郷晋浩訳、134
「精神分析への抵抗」池田紘一訳、149
「素人による精神分析の問題」池田紘一訳、159
「『素人による精神分析の問題』のためのあとがき」池田紘一訳、228
「精神の分析」木村政資訳、236
「『ミケランジェロのモーゼ像』補遺」池田紘一訳、242
「ある宗教体験」池田紘一訳、244
「戦争はなぜ」佐藤正樹訳、248
「ロマン・ロランへの手紙―アクロポリスでのある記憶障害」佐藤正樹訳、262
「人間モーセと一神教」森川俊夫訳、271
「補遺小論集」生松敬三訳、377

性愛と自我』金森誠也編・訳、白水社、新装版1995.L

『グラディーヴァ/妄想と夢』 W.イェンゼン著 ; 種村季弘訳 . / S.フロイト著 ; 種村季弘訳、作品社 , 1996.8.

自叙・精神分析』生松敬三訳、みすず書房、1975、再刊1999.9.

選集10、1955/1969

『自我論集』中山元訳、ちくま学芸文庫、1996
欲動とその運命、抑圧、子供が叩かれる、快感原則の彼岸、自我とエス、マゾヒズムの経済論的問題、否定、マジック・メモについてのノート

『エロス論集』中山元訳、ちくま学芸文庫、1997
女性の性愛について、

『モーセと一神教』 渡辺哲夫訳&解題、日本エディタースクール出版部 , 1998.12. (新訳)

『モーセと一神教』渡辺哲夫訳、ちくま学芸文庫、2003(上の本の文庫版っぽい)

フロイト&ブロイヤー『ヒステリー研究』(上・下)金関猛訳、ちくま学芸文庫、2004
ああ、ついに文庫で出ましたよ。人文の著作集では収録されていない、ブロイヤーの論文も収録されている。

『精神分析入門』 (上・下)高橋義孝・下坂幸三訳、新潮文庫、
新訳になっています。

『夢判断』(上・下)高橋義孝訳、新潮文庫、1969
これは古い訳のまま。早く改訂されないかな。と言うか、正しい題は『夢解釈』です。下のではそうなってる。

『夢と夢解釈』講談社学術文庫、2001.


参考文献

ピーター・ゲイ『フロイト1』、みすず書房、1997.
ジョーンズの『フロイトの生涯』に変わる新定番の伝記となるか?

ラプランシュ・ポンタリス『精神分析用語辞典』、みすず書房、1977.
精神分析辞典の基本。でも今では少し古くなっていると思う。

R・シェママ編『精神分析事典』弘文堂、1995年。2002年(改訂版)

フロイト入門

小此木啓吾『フロイト その自我の軌跡』NHKブックス(1973)
口唇的人間フロイト、躁鬱気質フロイトなど。

小此木啓吾『フロイト』講談社学術文庫(1978)
フロイトの著作の抜粋、その思想、その発展など。人類の知的遺産シリーズ。このページの多くはこの本に負っています。

牛島定信『現代精神分析学』日本放送協会、2000(増補・改訂版)
ちょっとくわしめの教科書。神経症の説明など。役に立つ。

R・ベイカー『フロイト その思想と生涯』講談社現代新書
ブロイアーやアンナ・Oの症例など。

小此木啓吾『対象喪失』中公新書
喪(悲哀)の仕事についてだが、フロイト入門としてもすぐれている。

ババン『フロイト 無意識の扉を開く』創元社、1992

シェルトーク&ソシュール『精神分析学の誕生』岩波書店、1987

上山安敏『フロイトとユング』岩波書店、1989

アンソニー・ストー『フロイト』講談社選書メチエ8、1994

外林大作『ナルシズムの喪失 フロイトの読み方2』

鈴木晶『フロイトからユングへ』NHKライブラリー、1999年

鈴木晶「精神分析入門」を読む』NHKライブラリー、2000年

妙木浩之 『エディプス・コンプレックス論争/性をめぐる精神分析史』 講談社選書メチエ
 

北浜邦夫 『ヒトはなぜ、夢を見るのか』 文春新書

新宮一成「夢分析」岩波新書
 

読むシリーズ

湯田豊『フロイト『文明とそれの不満』を読む』北樹出版、1998

鈴木晶『「精神分析入門」を読む』日本放送出版協会、2000(NHKライブラリー ; 114)

ピーター・ゲイ『フロイトを読む―探求と逍遙』叢書・ウニベルシタス、法政大学出版局、1995


本格的解説書

アンリ・エレンベルガー『無意識の発見 力道精神医学発達史』(上・下)弘文堂、1980.

リクール『フロイトを読む』新曜社、1982

『岩波講座 精神の科学』全十巻、別巻一冊

叢書『精神の科学』全十六冊、岩波書店

『岩波講座<現代思想>3 無意識の発見』1993

ハーバーマス『認識と関心』未来社、1981

ミシェル・アンリ『精神分析の系譜』法政大学出版局、1993

ベッテルハイム『フロイトのウィーン』みすず書房、1992

ゲイ『フロイトを読む』法政大学出版局、1995

藤田博史『幻覚の構造―精神分析的意識論』青土社、1993

エルンスト・ジョーンズ『ハムレットとオイディプス栗原裕、大修館書店、1988
 フランス語訳にはスタロバンスキーが序文を書いていて、それがエディプス・コンプレックスについての体系的な分析となっているらしい。そっちは滅多にない本なので東大生とか図書館で借りられる人はコピっておくのが吉なり。

ジョルジュ・ポリツェル『精神分析の終焉―フロイトの夢理論批判』 三和書籍、2002
 1928年にだされたフロイトの夢理論への批判。この時代のフランスがどう精神分析を受容したかということを示す歴史的資料。こんなのが訳されているのを知ったらフランス人もオドロキでしょう。 原題
『心理学の基礎の批判』ですが、どうしてこんな第にされたことやら。こうした題をつける出版社や関係者(解説を書いている者は言うに及ばず)を見ても、やはり精神分析をめぐる状況はたいへん嘆かわしい。

アンリ・エー編『無意識』、大橋博司監訳、金剛出版、1986-87
 1959年に開催された「ボンヌヴァル討議」をもとに出版された本の邦訳。フランスにおける精神分析の発展においては記念碑的なもの。とくに第二巻のラプランシュとルクレールの発表は有名であり、上のポリツェルの本を批判しているなど、読み応えはある。

フロイト批判

アイゼンク『精神分析に別れを告げよう―フロイト帝国の衰退と没落』、批評社、1997/04/10)

アドラー

ポパー

ワトソン

ロジャース

バロンデス 『心の病気と分子生物学』 日経サイエンス社

カルロ・ストレンガー

岡野憲一郎『新しい精神分析理論』(岩崎学術出版社

ホブソン 『眠りと夢』 東京化学同人

ホブソン 『夢見る脳』 どうぶつ社
 

精神分析の発展

対象関係論(クライン派)
幼児期を対象とするクライン派はいまや世界的な発展を見せつつある。思想的にも重要。

バリント『一次愛と精神分析技法』みすず書房、1999
ラカンもセミネール一巻でとりあげたバリント。日本への影響も強い。

『メラニー・クライン著作集』誠信書房
『幼児の精神分析』はもう品切れ状態。なんとかして。

松本邦祐『対象関係論を学ぶ』岩崎学術出版1996

ウィニコット『児童分析から精神分析へ』岩崎学術出版1990
ウィニコットは著作集が刊行中。

フェアバーン

J・ボルビイ『母子関係の理論』、第二巻「分離不安」

W・ビオン


自我心理学と力動精医学(アメリカでの発展)
自我心理学にはあまり興味はありません。だってあまりにアメリカ的すぎるような気がするんだもん。

アンナ・フロイト『自我の防衛』岩崎学術出版

H・ハルトマン『自我の適応』
主体と自我を同一視するなんて笑っちゃうよね。

エリクソン『自我同一性』

R・I・エヴァンズ『エリクソンは語る』新曜社

M・マーラー「乳幼児の心理的誕生」

R・スピッツ『母子関係の成り立ち』

H・S・サリバン『現代精神医学の概念』

ハインツ・コフート『自己の修復』みすず書房
でも自己心理学あたりは面白そう。和田秀樹が解説者。


日本の精神分析学
日本人ではフロイトの理論はそのまま通用しないらしい。この問題はそのまま日本人論にもなっていて面白い。

小此木啓吾『日本人と阿闍世コンプレックス』中公文庫

小此木啓吾『過去への旅』近代文芸社

小此木敬吾『エディプスと阿闍世』青土社

小此木敬吾『「しつけ」の精神分析』金子書房

土居健朗『甘えの構造』弘文堂
読み物として面白い。日本人に潜む天皇制など。

土居健朗『「甘え」の周辺』弘文堂


ラカン派と現存在分析
哲学を導入したラカン。今のところ人間についての最も徹底的な洞察を示す理論と思われる。

ラカン『エクリ』全三巻、弘文堂
「ローマ公演」は一巻目。翻訳は絶望的に悪い気がする。

ラカン『セミネール』岩波書店
1、2、3、7、11巻がすでに翻訳された。翻訳はなかなか良い。

ビンスワンガー『フロイトへの道』岩崎学術出版、1969
感動的なフロイト論でもある。

M・ボス『精神分析と現存在分析論』


WWW上の有益なホームページ

FREUD NETでは

International Psychoanalytical AssociationIPA(国際精神分析学会)世界の精神分析学会の元締め ?

The American Academy of Psychoanalysis(AAP)(アメリカ精神分析学会)何それ?

APA(アメリカ精神医学界)あのDSMを作っているところ。もち精神分析も取り入れているらしいが……

フロイト郵便(フロイトの翻訳の訂正など。必見。)

MUSHAの精神分析の世界(精神分析の入門的解説がある。主にフロイトとクライン。それなり。)

村のホームページにはフロイトの簡単な解説があります。

こころのWEB RING WOIDは「こころ」関連のウェブリング。期待しないように。

カウンセリング・インフォ・ジャパンではなぜかこのホームページへのリンクが貼られていたりする。有名になったもんだ。

鈴木晶のウェブサイトでは、フロイトデータベースがあるがたいしたことはない。

Aoyama光延インスティテュートでは、実際に困っている人たちに役に立ちそうなセミナーとかを開いています。

アメリカ精神医学会『精神分析事典』の私的解説にはかなり詳しい概念解説があります。でも内緒らしい。

DSM


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